~信頼と実績で明日を拓く 山本建設~
私たちの生活を支える建物や道路。その安全性や耐久性は、目に見えない地盤の状態に大きく依存しています。
地盤の特性は地域や環境によって多様であり、適切な調査と対策が欠かせません。近年、地震や豪雨などの自然災害が頻発する中、地盤調査の社会的ニーズはますます高まっています。
地盤調査は、建設予定地の地質や支持力を評価し、適切な基礎設計や地盤改良の計画を立てるための重要な工程となります。
地盤調査は、土地の性質を知るための第一歩です。住宅やビルだけでなく、インフラ整備や国土保全事業にも地盤調査は必要不可欠なプロセスとなっています。地盤の強度や安定性を理解することで、建物の基礎工事や設計に最適なプランを導き出すことができます。
地盤調査
一見すると安定して見える土地でも、地中に問題を抱えていることがあります。例えば、河川沿い・海岸沿いなどの地域では水の流れによる堆積(たいせき)作用によって地盤が形成されるため、広い範囲で軟弱地盤の地域である可能性が高まります。また、埋め立て地では人工的に形成された土地で、使用された土や廃材の性質が不均一である為、軟弱な地盤が発生しやすい傾向にあります。
そのような軟弱地盤の土地では、地盤が建物の重量に耐えられないことがある為、建築物の安全性を確保する上で、地盤調査は欠かせない工程となります。
適切な地盤調査を行うことで、建物が建設される土地の特性を正確に把握し、基礎設計や地盤改良の必要性を判断することができます。日本のように地震が多い地域では、地盤の安定性を事前に確認することが建物の長寿命化と安全性向上につながります。
地面の特性や支持力、地下水位などを詳細に把握することで安全で効率的な建設計画を立てることが可能となります。
以下に、代表的な地盤調査の方法をご紹介します。
スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)
2020年(令和2年)10月にJISの改正に伴い、現在ではSWS試験(スクリューウエイト貫入試験)と名称が変更。
SWS試験は、地盤の硬さや支持力を調べる試験方法の一つです。この試験ではスクリューポイントを取り付けた鉄の棒(ロッド)を地中に回転させながら挿入し、その際の回転数や貫入の深さを測定。ロッドの先端が地中に入る際の抵抗から地盤の硬さを判断し地層の構成や強度を分析します。
■メリットと留意点
SWS試験の主なメリット
- コスト効率:試験装置が簡易であり、コストを抑えられます。
- 迅速性:一般的におよそ半日~1日程度で終了し、複数地点の調査が可能。
- 狭小地での適用性:小型機器を使用する為、狭い場所や傾斜地でも調査が可能。
一方、以下の点に留意が必要
- 調査深度の限界:一般的に10m程度までの調査に適しています。
- 硬質地盤での制約:小石や岩盤などの硬い地層では、貫入が困難な場合があります。
- データの精度:深度が深くなるとロッドにかかる摩擦力が増大し、試験データの精度が低くなる可能性があります。
■一般住宅などの相場費用
一般向け住宅の敷地 5~10万円程度が相場費用となります。※1
※1 支持層が深いケースや土の性質によっても調査費用が変わります。一般的な相場費用とお考えください。
「支持層」とは、建物などの構造物を支えることがで出来る地盤または地層のことですね。
スクリューウエイト貫入試験は、住宅や小規模建築物の地盤調査において、迅速かつ経済的に地盤の特性を評価できる手法として広く採用されています。しかし、地盤の種類や調査目的に応じて、他の調査方法と併用することが望ましい場合もあります。適切な地盤調査を行うことで、安全で耐久性の高い建築物の建設が可能となります。
ボーリング調査(標準貫入試験)
マンションなどの大規模建築物で採用されることが多く、地盤の深部まで詳細に調査が可能となります。
ボーリング調査は、地盤の性質や強度を評価するために行われる重要な手法であり、その中で「標準貫入試験(SPT)」は広く用いられています。この試験で得られる「N値」は、地盤の硬さや支持力を示す指標として建築や土木工事の基礎設計に欠かせないデータとなります。
「N値」を測定するには、一定の重さを持つハンマーを地中の試験管に落とし、30cm貫入させるまでの打撃回数を数えます。例えば、硬い地盤では多くの打撃が必要になりますが、柔らかい地盤では少ない回数で貫入します。
■メリットと留意点
標準貫入試験の主なメリット
- 国際的に基準化:地盤の硬さや支持力を数値化することで設計や施工の信頼性を向上させます。特に、N値(標準貫入試験で得られる値)は、多くの国で基準化されており過去のデータと比較しやすいという利点があります。
- 正確な詳細情報:直接土質試料を採取できるため、地層構成や地下水位などの詳細な情報を得ることができます。これにより地盤の特性を正確に把握し、適切な基礎設計が可能となります。
- 設計の信頼性向上:N値は、多くの設計基準や規準で利用されており、構造物の設計に活用できます。詳細な地盤データを基に設計することで、構造物の安全性と耐久性を確保できます。また、不適切な設計や施工ミスを防ぐことにもつながります。
一方、以下の点に留意が必要
- 調査コストが高い:ボーリング調査は専門的な機器と技術を必要とするため、費用が比較的高額になる場合があります。特に深い地盤まで調査する場合、コストが増加する傾向にあります。
- 環境に依存:調査結果は地盤の構成や地下水位、季節的な条件に影響を受けることがあります。適切なタイミングと条件で調査を実施することが必要です。
- 周辺環境への影響:ボーリング作業そのものが環境に影響を与える場合があります。掘削による地表の損傷や地下水への影響などが挙げられます。また調査中の騒音や振動が周辺環境に影響を与える可能性があり、都市部や住宅地では近隣住民への配慮が必要です。事前の説明や適切な防音・防振対策を講じることが求められます。
- 専門性:調査結果が正確であることを確認するために、経験豊富な技術者による作業と解析が必要となります。
■比較的規模が大きい建物の調査費用
比較的大きめの敷地 20~30万円程度が相場費用となります。※2
※2 支持層が深いケースや傾斜地での調査などによっても調査費用が変わります。一般的な相場費用とお考えください。
ボーリング調査(標準貫入試験)は、地盤の安全性と構造物の信頼性を確保するために欠かせない工程です。その一方で、コストや環境影響、調査範囲の限界といった課題も存在します。これらを十分に理解し、適切な計画と対策を講じることで、調査の効果を最大限に引き出すことが可能になります。正しい地盤情報を基に設計・施工を行うことが、持続可能で安全な建設プロジェクトの実現に寄与します。
表面波探査法
(ひょうめんはたんさほう)
表面波探査法は非破壊的に地盤の特性を評価する方法で、近年注目を集めている調査方法の一つとなります。
地表に人工的な振動を加え、その波動の伝播速度を測定することで地盤の硬さや層構成を推定します。レイリー波と呼ばれる表面波を利用することから「レイリー波探査法」とも称されます。
■メリットと留意点
表面波探査法の主なメリット
- 非破壊性:地盤を掘削せずに調査が可能な為、環境負荷が少なく都市部や保護区域でも適用可能。
- コスト効率:ボーリング調査と比較して必要な機材が簡易であり、調査費用を抑えることが可能。
- 迅速性:迅速にデータ収集が可能で工期の短縮に寄与します。
- 広範囲の評価:複数のセンサーを用いることで、面的な地盤情報を取得でき地盤の均質性や異常箇所の特定に有効。
一方、以下の点に留意が必要
- 深部調査の限界:調査対象の深度が深くなると、伝播する波が減衰し精度が低下する傾向があります。一般的には10~15m程度までの深度が適用範囲とされています。
- 周辺環境の影響:近くに擁壁(ようへき)や地下構造物が存在すると波の反射や屈折が生じ、正確なデータ取得が難しくなる場合があります。
- 土質や地下水位の把握困難:表面波探査では、土質の詳細や地下水位の正確な位置を直接測定することは難しい為、他の調査方法との併用が推奨されます。
■一般住宅などの相場費用
一般向け住宅の敷地 8~12万円前後が相場費用となります。※3
※3 支持層が深いケースや地下構造物などがある場合、調査費用が変わります。一般的な相場費用とお考えください。
表面波探査法の大きな魅力は、非破壊である点です。ボーリング調査のように地盤を掘削する必要がなく、建物や自然環境に影響を与えないため、住宅地や文化財保護地域などでも適用が可能です。また、コストパフォーマンスにも優れ、必要機材が比較的簡易である為、従来の方法に比べて低コストで広範囲の調査が可能です。
さらに、表面波探査は短期間での調査が可能であるため、工期の短縮にも寄与します。例えば、狭い現場や交通量の多い道路沿いでも効率的に調査を実施できます。
しかし表面波探査法にはいくつかの課題も存在します。例えば、地盤が非常に深い場合や複雑な地層構造を持つ地域では、精度が低下することがあります。その為、必要に応じて他の調査方法と組み合わせて総合的に地盤の評価を行うことが推奨されます。
様々な地盤調査
地盤調査にはさまざまな方法がありますが、代表的なものとしてスクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)やボーリング調査(標準貫入試験)が挙げられます。
スクリューウエイト貫入試験は、比較的小規模な建物に適しており地盤の硬さや支持力を簡易的に評価できます。一方、ボーリング調査は大型建築物や詳細な地盤データが必要な場合に用いられる高度な調査方法となります。
地盤の状態に応じた適切な地盤改良を採用することで安全性を高め、さらには建築基準法の規定に基づいた建物の設計が可能となります。
地盤改良 D・BOX工法
私たち山本建設では「地盤強化」と「振動低減」を同時に実現し、セメント系固化剤は一切使用せず自然環境に配慮された、従来の地盤改良工法とは一線を画すD・BOX(ディーボックス)工法で循環型社会に対応した、インフラ構築を実現します。
地盤改良 D・BOX工法
地盤補強と振動低減効果を同時に実現。
地盤補強だけでなく振動や液状化被害の低減性能も備えており、他工法とは一線を画す特徴ある地盤改良工法です。
D・BOX(ディーボックス)工法は一般財団法人日本建築センターより「建設技術審査証明」を受けており、安心してご利用頂ける工法です。
この記事を書いたスタッフ
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山本建設は創業から60年、建物や道路工事など地元地域を彩るお手伝いをしてきました。
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