大気汚染・水質汚濁 北九州市 公害克服への取り組み

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福岡県北九州市は、1963年(昭和38年)2月10日「門司市」「小倉市」「若松市」「八幡市」「戸畑市」による5つの市の対等合併により誕生し、日本の近代化と高度経済成長を牽引した四大工業地帯の一角として発展。

その一方で、深刻な大気汚染や水質汚濁(おだく)など様々な問題に対峙してきました。これらの問題は、市民・企業・行政が一体となって公害を克服し、現在では持続可能な開発目標(SDGs)を推進するモデル都市として国内外から注目を集めています。

日本の近代化と四大工業地帯の形成

日本が終戦後の高度経済成長を遂げる中、四大工業地帯はその中心的な役割を果たしました。京浜・中京・阪神・北九州の各工業地帯では、それぞれの地域特性を活かして多種多様な産業を展開し、日本の近代化を牽引してきた歴史があります。

山本 ハナコ

かつて北九州市は日本の「四大工業地帯」の一つでしたが近年、相対的に地位が低下し四大工業地帯から外され、現在の教科書では「北九州工業地域」と呼ばれています。

北九州市は戦後の日本が近代化を進める中で、四大工業地帯の一角を成し工業地帯として発展を遂げ、特に製鉄業を中心に高度経済成長を牽引しました。しかし急速な経済発展により、大気汚染や水質汚濁(おだく)といった深刻な公害問題が発生。

高度経済成長期には、煙突からの黒煙や工場排水による川や海の汚染が日常的な光景となり、住民の健康被害が深刻化しました。「七色の海」と揶揄(やゆ)された洞海湾の汚染は、北九州市の公害問題を象徴するものでした。

公害克服への市民と行政の取り組み

1960年代後半(昭和35年~昭和44年)市民からの強い抗議や健康被害の訴えを受け、北九州市は本格的な公害対策に乗り出すことになります。行政は企業と協力し、大気汚染防止法や水質汚濁防止法などの法整備を進め、同時に汚染源となる工場に対して厳格な規制を導入。

市民も自ら動き出し、地域コミュニティで環境保全活動を展開。市民・行政・企業が共に取り組むことで北九州市の環境は大きく改善されることになっていきます。

山本 ハナコ

公害問題に対し、最初に立ち上がったのは子どもの健康を心配した母親たちでした。「青空が欲しい」という名のもとにスローガンを掲げ、自ら大気汚染の状況調査、その結果をもとに企業や行政に改善を求める積極的な運動を展開。これらの市民活動は北九州市の公害問題解決において重要な役割を果たしています。

洞海湾の奇跡

洞海湾(古名:洞海くきのうみ)の浄化は、北九州市の公害克服の象徴的な成功例です。かつては「死の海」と呼ばれたこの湾は行政の指導のもと、企業や市民の協力による排水規制や浄化活動が進められその結果、湾の水質は劇的に改善、現在では多くの生物が生息する豊かな環境が戻っています。

現在では100種類以上の魚介類が生息し、多くの野鳥が飛来しています。

四大公害事件

北九州市以外の地域でも高度経済成長期に深刻な公害問題が発生し、日本社会に多大な影響を与えました。具体的には、以下4つが挙げられ四大公害事件と言われています。

  • イタイイタイ病:富山県神通川(じんつうがわ)流域で、鉱山から排出されたカドミウムが原因で発生。カドミウムによる土壌汚染から人々の健康を害し、骨軟化症や腎障害を引き起こしました。
  • 新潟水俣病:新潟県阿賀野川(あがのがわ)流域で、1960年代に水質汚染によるメチル水銀中毒が発生。「手足のしびれや震え・歩行困難・言葉がうまく話せない・視野が狭くなる・聴力障害・頭痛・味や匂いが分からない」など様々な症状を引き起こしました。
  • 四日市ぜん息:三重県四日市市では、石油化学工業の発展に伴い大気汚染が深刻化。排出された亜硫酸ガスが原因で、多くの住民がぜんそくや気管支炎に苦しむ結果となりました。
  • 熊本水俣病:熊本県水俣市で1950年代に発生した水俣病は、化学工場から排出されたメチル水銀が原因。水質汚染により海洋生物を介して人々の体内に有害物質が蓄積され、深刻な神経障害を引き起こしました。

これらの公害問題を受けて日本政府は1967年(昭和42年)に公害対策基本法を制定。この法律は、大気・水質・土壌汚染・騒音など幅広い公害問題を包括的に規制するもので、日本の環境行政の基本となる法制度の枠組みを成しています。

山本 ハナコ

高度経済成長期において、多くの人々の健康と生活に甚大な被害をもたらした公害は、企業活動と環境保護のバランスを問う政策転換点となっています。

引用:北九州市 公害克服への取り組み

環境モデル都市

現在、北九州市は環境問題に取り組むことで世界に誇れる「環境モデル都市」へと生まれ変わり、その歩みはエスディージーズの理念とも一致し、持続可能な社会を目指す現代において重要な指針となっています。

深刻な公害を市民・企業・行政が一体となって克服し、その経験を基に持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。SDGs未来都市として環境・社会・経済の各側面で新たな価値創出を目指し、国内外から高い評価を受けています。

これからも北九州市はSDGsの達成に向けた先進的な取り組みによって環境と経済の両立を目指し、さらなる発展が期待されています。

福岡県北九州市 皿倉山 山頂から望む現在の「洞海湾」
福岡県北九州市 皿倉山 山頂から望む現在の「洞海湾」

この記事を書いたスタッフ

のび
のび広報・WEB担当
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